下水汚泥コンポストとエコ コンポスト(エコンポ)
下水汚泥コンポストとエコ コンポスト(エコンポ)
「エコ コンポスト(エコンポ)」は、下水汚泥を主とする有機汚泥を好気発酵させて製造した「下水汚泥コンポスト(堆肥)」の一種です。
「下水」・「汚泥」と、汚いものが二重に並んでいるため、言葉から想像するイメージは、なにか「きたない」ものと感じてしまいますが、好気発酵によりできあがった製品は乾燥し、豆砂利~細砂のようなさらさらした形状をしており、土のにおい(放線菌臭)をしています。
私たちが食べた食物は、胃腸で消化・吸収され、その残滓が屎尿として排泄します。その排泄物は下水を通して下水処理場に集められ、処理されます。屎尿中には、消化・吸収されずに残った栄養分(窒素・リン酸・加里・その他ミネラル)が大量に残っています。このまま垂れ流されてしまうと嫌気発酵してしまい、悪臭を放ち土壌汚染の元となったり、水系に入り込むと富栄養化し水生生物が成育できない状態となってしまいます。
このため、下水に流された屎尿は、下水道網を通じ下水処理施設(昔は、「下水処理場」と称されていましたが、近頃では「水再生センター」と称されています)に集められ、好気的な条件で微生物処理されます。微生物処理を「活性汚泥法」と称しますが、プールに空気を送り、屎尿を微生物に食べさせるという方法を用います。これにより、屎尿は微生物の栄養となり、微生物の躰(菌体)に変換され、養分を取り除かれた水が河川へ戻される事となります。
下水汚泥とは、屎尿中に含まれた養分を微生物に食べさせ、水を綺麗にした後に発生する微生物(有機物)の固まりなのです。綺麗ななった水を濾過し、分離しした残滓が下水汚泥という事になります。含水比が高いため「汚泥」と名付けれておりますが、その正体は好気性細菌(有機物)の固まりなのです。
含水比の高い状態では、有機物は再発酵し嫌気的な条件では悪臭を放つようになるため、これを乾燥させ再発酵を止めることが必要になります。
乾燥させる方法としては、①天日乾燥、②コンポスト(堆肥)化、③焼却という方法があります。
①の天日乾燥は、日光エネルギーを用いるため、最も経済的なのですが、広い面積が必要であり、お天気任せ、乾燥しきるまで多少悪臭が発生するため現在はあまり行われていません。天日乾燥した下水汚泥は、菌体肥料として活用されていましたが、雨水に濡れるともとの汚泥に戻ってしまうため使いにくく、現在ではごくわずか生産されているのみです。
②の焼却処理が最も手軽な方法のため、現在は主となっておりますが、石油を用いて水分を飛ばした後、焼却するということになりますから、エネルギー効率の点では問題の多いやり方です。また、必然的な温暖化ガスを発生させる事になります。しかし、おてがるなため、下水汚泥の大部分が焼却処理されております。焼却残滓の焼却灰は、重金属が濃縮されるため、有効活用は困難で最終処分場に運び処理されることとなります。
③の方法がコンポスト(堆肥)化ですが、微生物の固まりである汚泥を、好気的な発酵をさせることにより、減量化し、発酵熱により乾燥させ、かつ、土壌改良効果の高い放線菌などの菌体を増加させるという方法です。このため、できあがった製品は、菌体肥料として有効活用することが容易となります。エネルギー効率、有効活用を図るという点では、環境に最も優しいものといえ、エコ・資源循環の時代に最も適した方法といえるでしょう。